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スピリチュアル妄想録
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政治と秋刀魚 日本と暮らして四五年政治と秋刀魚 日本と暮らして四五年
(2008/04/10)
ジェラルド・カーティス

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著者は米国コロンビア大学の教授。有名な日本政治学者。
日本語で書いた文章らしいが、さすがに日本語はお上手。文章まで、論理的に展開する米国流エッセイというよりは、日本流の随筆的なもの。

中身は面白い。日本人ではなかなか言いにくい正論をはいている。一面的にながれがちで、相対的に物事を考えることが苦手な日本人は、こういう日本を大事にしてくれる知日派の声に時に耳を傾けルことが大事だと思う。

以下メモ。

・アメリカは教育制度や企業など社会が「遅咲き」に寛容。アメリカでは大学を卒業してもすぐに就職せず、好きなことをやるのは極普通。一方で、日本は極めて冷たい。もっと寛容になることは日本の重要な課題。
→同感。

・米国の知日派の傾向。第一に、若い研究者は、実態調査よりも理論を重視。広く日本についての知識を得ようとするよりも、狭い分野で専門的な理論を深めようとする傾向が強い。これは、日本研究に限らず、最近のアメリカ社会科学一般の傾向。地域研究が評価されない。第二に、JET世代の台頭。

・米国は多民族・多宗教・地域差が大きいので小選挙区制にしないとばらばらになる。一方で日本は、一元的で、白か黒かというよりもグレーの濃さの違いであることが多い。このような社会に小選挙区を導入すると、政党は似たような政策を有権者に提示し、違いは、トップリーダーの人気に帰着する。リーダーを支えるのは政党の代議士ではなく、世論になるので、ナショナリズムをあおって大衆迎合するようなポピュリズムに傾き何とか人気を高めようとする危険性が強まる。
→私も昔から、小選挙区制より中選挙区制のほうが良いと思っている。少なくとも小選挙区制が導入された頃のように、小選挙区制イコール善、中選挙区制イコール悪というのは、単純すぎると思う。今でも、そのように考えられているところもあるが。

・日本の文化が他の国と違うのは日本の魅力と面白さであるが、大体において日本人の行動について文化的説明が多すぎる。社会科学者は安易に文化論を持ち出すべきではない。

・日本人は自らのアイデンティティを気にしすぎる。米国はアイデンティティを考えないと、ばらばらになるが日本はその必要は無い。尊敬されるためにアイデンティティを確立する必要があるというのは極めて日本的な発想。例えばフランス人は自らを尊敬するためにアイデンティティを重視しているのであって、国際的に尊敬されるためではない。外から見ると日本のアイデンティティは十分強い。だからそれを更に確立するというのは奇異に見える。いろんないみで日本折ユニークなのはアメリカ。でもアメリカは自らを普遍的なものと思い込んでいる。逆に日本人は他の国や文化との共通性をあまり意識しない。日本人がユニークなのは強いて言えば、ユニークであると思い込んでいる点。
→興味深い指摘。

・日本の外交はいかに時流に乗るかを考える受動的なもの。アメリカは、いかに世界の構造を自分の国益に合致するように構築できるかを考える。ワシントンの新保守主義者の要請に応えようとしたら日本の対応型が以降は危険な道をたどる。日本なりのはっきりした戦略を示す必要がある。

・55年体制において非公式な調整メカニズムが上手く働いた。日本はプレゼントの包み紙を丁寧にとって折りたたんで中身を出すが(アメリカ人は破って中身を取り出す。)、日本人にとって全てが中身である。他の社会なら、型と中身を区別して、中身さえ良ければいいと考えるが日本はその区別をしない。日本において型(フォーム)は中身(サブスタンス)である。 このような型にこだわるフォーマルな社会では、インフォーマルな話し合いを重視する。酒の席などでの根回しがそう。しかし、接待を否定するような価値観が出てきて、暗黙rの了解や曖昧な慣習に基づくゲームのルールが破壊されてきた。それは日本社会全体においてそう。それで調整メカニズムは一般に弱まってきている。
→非常に興味深い。

・政治討論テレビ番組を見ていると、特に若い政治家は、難しい政策の話をして官僚並みの政策知識をひけらかす。また、丁寧に自分のん考えを説明するよりも相手の話を邪魔したり攻撃することがやけに目に付く。政治家は、方向性、基本方針、重要法案について力を発揮すべきで、なによりもジェネラリストであるべき。官僚機構をぶっ潰すと安倍首相はいったが、当然官僚に変わる専門知識を持つスタッフが必要になる。

・完了バッシングが続いた結果、官僚のモラールが低下し、優秀な学生が官僚になろうとしなくなった。官僚機構が弱まっているが、それにかわる受け皿は生まれていない。行政改革がこのまま進むと最悪の結果を招く可能性が強い。

・普通の国は政治家は当然政策の責任は自分が持っていると思っているので、日本の政治家のように官僚が反対するから製作を実行できないとは恥ずかしくていえない。官僚バッシングが日本では盛んだが、官僚機構を上手に指導できない政治指導者の問題がはるかに大きい。

・民間人や大学人を任命する政治任用制度は、モデルとするものがアメリカのもんであり、アメリカの制度は世界でもユニーク。そのシステムを導入するとマイナスが多い。

・日本の総理大臣は有権者と直接結びついた大統領化しているが、大統領制特有のチェックアンドバランスがないまま、伝統的な政党政治が生み出したチェックアンドバランスが機能しなくなると、政治は悪い方向に向かう。目の前で日本人が誇りに思うべき伝統が消えて言っており残念。

・小泉政治は特異なものであり、政治システムを恒常的に変えたわけでもない。安倍は小泉のやり方は、新しい政策決定システムとして確立したと勘違いし、自分も同じように出来ると思ったが、小泉のようなカリスマ性がなく、失敗した。



モグワイの名曲
Mogwai - "2 Rights Make 1 Wrong" - Live 2001 France


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