On the Road

スピリチュアル妄想録
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◇ 「連戦連敗」 安藤忠雄

ずっと読んでみようと思ってたのだが、ようやく読めた。
ちなみに、銀座コアのブックファーストでは、サイン本が最近もおいてあった。


連戦連敗連戦連敗
(2001/09/03)
安藤 忠雄

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石原慎太郎が以前いいことを言っていた。

「今日の東京の姿っていうのはこれはゲロですね。こんなに醜い街になっちゃうのはほんとうに情けない話」
http://sankei.jp.msn.com/politics/local/071120/lcl0711202248000-n1.htm

こんなのも。
「先月スイスでの会議の後、所用で久しぶりにパリに寄ったが、パリの街のたたずまいはやはり美しい、というより落ち着いていかにも懐かしい。それはかつての東京に似たモノクロームな印象の魅力ともいえる。ドゴール政権で文化相を務めたアンドレ・マルローは、パリの煤(すす)けた建物の洗いなおしを命じ、加えて街を彩るネオンサインの色を限ったものに規制してしまった。それがパリの印象をしっとりと懐かしいものに保つに役立っている。結果としてマルローのやったことは感覚的な都市計画ともいえるに違いない。比べて、東京に限らず日本の主要な都市のほとんどは明治以後、近代化という名の下の真似ごとの積み重ねの上に、戦災を被った都市にしてなお戦後の無計画のまま、無性格な態様、不気味な混乱を呈したままにいる。せめて色彩の統一くらい計ったらと思うが、それも「表現の自由」とかを盾にされ、かないようもない。」
http://www.sensenfukoku.net/mailmagazine/no20.htmlより引用

同感。

醜さの原因は、石原氏も挙げているように、全く規律の無い都市計画がまずある。
コンプライアンス不況という言葉もある昨今、なかなか景観のために規制を強化することは難しいかと思うが、住民による自発的な軽度の規制というのは望ましいと思う。例えば、伝統的な京都の町屋などは、ひさしの高さを統一している。それが家の形はばらばらでも、並びとして統一された美しさをかもし出している。
(なお、最近京都では、景観を高めるための規制強化に乗り出しているらしい(参考:http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku2007/0711fs.html)。例えば数年後には、四条川原町の大通りに出ている看板は全て撤去されるらしい。ほかにも色々規制を強めるつもりらしいが、経済との両立をどのように図っていくか、注目されるべき実験だとおもう。)

それと、もう一つ原因をあげれば、モダニズム建築を悪い意味で誤解した、コストをただ下げるためだけの無装飾コンクリート打ちっぱなし安物建築の氾濫があるのではないだろうか。
モダニズム建築の無装飾性というのは、それまでの装飾の歴史を全く無視し機能性を重んじて無装飾を追及しているわけでもなく、装飾とはそのほとんどが元々は自然をモチーフにし、時間の経過とともに抽象性を高めて言ったものであり、たとえば、コンクリートの打放しという「装飾」にも歴史的に抽象化を突き進めていった結果として行き着いたものである。そこにはコンクリートの自然性がもつ美しさもテーマとしてあるはずだし、抽象化の歴史も踏まえられているはずである。が、モダニズムの無装飾性だけを誤解して利用した安建築はそのような歴史性、芸術性が全く踏まえられていない。ただ安さを追求しただけの建築が、秩序もなくゲロのようにぶちまけられているのが現状ではないか。


何となく、安藤氏も歴史性を無視した、機能性だけを考えた似非モダニストかとよく知らないままイメージだけで勝手に誤解していた面もあったが、すごくまともな感性を持った人だというのがよく分かった。それはこの本の中の次のような言葉からも分かる。

「その土地の記憶を自分の身体で確かめ、そこで営まれている人々の生活が実感として理解できなければ建築を考えることが出来ませんし、かといって、既存の文脈と全く切り離した価値で建築を挿入するような手法にも従うことが出来ません。」 p.47

「非常にミニマルな、単純化され普遍化されうる手法によりながら、目指しているのは「そこにしか出来ない場所を作ること」にほかなりません。」 p.179

「空間の原型に近づくための一つの手がかりとして、外部と内部を一体的に作り出すことの出来る唯一の材料であるコンクリートが、重要な意味を持ってきたのです。 その空間イメージを実現するためのコンクリートの質感として私が求めたのは、平滑で手触りも柔らかな打放しの素材感です。それは、木と紙でできた建築に慣れ親しんだ日本人の感性を意識したものでもありました。 滑らかな触感を持ち、なおかつその美しさを長く保つためには、出来るだけ硬いコンクリートをスムーズに打つことが不可欠です。生地のまま美しく仕上げるために、繰り返し最適な調合を研究しました。」 p.200

ちなみに、この本は主にコンペでの安藤氏の挑戦についてかかれたものであり、日本の景観の問題などについては触れられていないので念のため。
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